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ぼくのかんがえたさいきょうのNOTTV #nottv

さて、前回の記事で書いたとおり、しばらくNOTTVのモニタをしてみて、不満点や評価すべき点がいろいろ見えてきた感じがします。

批判するばかりの記事を書くのも嫌だし、「批判するなら対案を出せ」と某市長もおっしゃっているのでw、こういう点を改善してほしいという案をちゃんと考えてみました。

僕は放送業界の人間じゃないのでセオリーみたいなことはわかりません。
ただ単に、こういうサービスだったら僕は喜んで加入するなぁ、ということだけを考えたのが次のプランです。
もしかするとmmbiの中の人も「そんなことわかってんだよ!」と思っていることもあるかも知れませんし、逆に「何にもわかっちゃいねーなー」と思っていることもあるのかも知れませんが、そんなことは知ったこっちゃありません。
たとえ将来的にどんなビジョンがあろうとも、ユーザーの評価基準は現時点で放送されているものが全てです。現時点での放送を見て思ったことを好きなように書きました。

もくじ

  • 本当の意味で「“NOT”TV」に
  • CSに頼らない。CSを真似る
  • リアルタイム放送と蓄積型放送の使い分けを
  • まとめ。ぼくのかんがえたさいきょうのNOTTV

本当の意味で「“NOT”TV」に

まず根本的なこととして、携帯端末向け放送は通常の固定受信機向け放送とはまったくマーケットが違うということをちゃんと認識すべきだと思います。

名前こそ「NOTTV」ですが、今のNOTTVの実体は「LESSER TV」「ANOTHER TV」といった程度でしかないように感じられます。「テレビのようなもの」をもうひとつ作る必要なんてこれっぽっちも無いのです。

各放送メディアとインターネットでの番組配信の立ち位置を簡単にマトリックス図にしてみました。
メディアの立ち位置マトリックス図

オリンピックやワールドカップなど国民的に注目されるスポーツイベント中継のようなマス・大規模なものについては、地上波テレビが圧倒的に向いています。

同じスポーツ中継でもレギュラーシーズンの中継やマイナー競技の中継のように注目度が若干下がるものについては、一昔前ならここも地上波テレビが担っていましたが(1990年代の日テレ系は毎日のように巨人戦中継を組んでましたね)、今では衛星放送・CATVがここに収まるでしょう。

一方ラジオは、皆で楽しむと言うより一人で楽しむことが多いと思います。マスからニッチに近いところまで縦に伸びていますが、上はお昼のワイド番組、下の方は深夜のアニラジというイメージです。

インターネット番組配信はPC向けも携帯向けもひっくるめてしまいましたが、いずれにしてもニッチな需要に特化しているといえます。サーバや回線の負荷を考えると大規模なものには向いていません。

この図に対して、NOTTVは次の位置を目指すべきだと思います。

マトリックス図におけるNOTTVの立ち位置

まず縦軸から見ていきます。
縦軸(マスかニッチか)では、インターネットより若干マス寄りな位置に置いてみました。

インターネット番組はニッチなものに向いています。
配信するスタッフの人数も小規模で、パソコンや携帯電話など簡易なシステムを使って配信しているのでコストも低く、いろいろなことを試せます。
チャンネルの制約も、番組編成という時間の制約もほとんどないため、「それに興味のある特定少数」のための番組が山のように配信されています。
例えばロケット打ち上げ中継のような、「打ち上げ時刻が直前まで不安定なため編成枠のあるテレビでは中継しにくい」「だけど興味を持っている人は少なからずいる」という番組はまさにインターネットに向いていると言えます。

しかし、そこから少し規模が大きくなってくるとインターネットには向きません。
現在の主流規格であるIPv4では、接続数が増えれば増えるほどサーバや回線の負荷が比例的に増えていき、そして一定のキャパシティを超えてしまうと「落ちて」しまいます。
次世代規格のIPv6では「マルチキャスト」を使うことである程度負荷が抑えられますが、まだあまり普及はしていません。

民放各局と放送大学が参加しているradikoや、NHKのらじる★らじる、コミュニティFM各局のサイマルラジオのように、インターネットで地上波ラジオをそのまま同時配信するサービスが人気を集めています。
これらは音声配信なので映像配信に比べると負荷は比較的少ないのですが、それでも月曜深夜にTBSラジオ系で放送されている「伊集院光 深夜の馬鹿力」のような人気番組が放送される時間はサービスにつながりにくいということがよく発生しています。

一方、元々の地上波ラジオでは、当然のことですが受信者数がいくら増えたところで各個人の受信状態に影響を与えることはありません。
誰かが聞けるようになったかわりに誰かが聞けなくなるということもなく、電波が受信できさえすれば皆が同じ放送を受信することができます。
これが「放送」の強いところです。

また、先ほど少し触れた編成枠の問題についてもNOTTVは比較的自由が効きます。
NOTTVはひとつの電波を13個の細かい帯域(セグメント)に分けており、そのうちいくつかのセグメントはリアルタイム放送に使い、また別のいくつかのセグメントは蓄積型放送に使う、というふうに自由に組み合わせを変えて放送することが可能となっています。
実際に、リアルタイム放送の「NOTTV2」チャンネルは深夜に放送を休止し、その帯域を使って蓄積型放送のデータを集中して送信するということが行われています。
急遽放送が決まれば蓄積型放送に使うはずだった帯域をリアルタイム放送に転用し、逆にお流れになれば蓄積型放送に転用するという柔軟な運用はできるはずです。

次に横軸を見ていきます。
ラジオと同じパーソナル寄りの左端に置き、ラジオの円の下半分にそっくり被せてみました。
NOTTVの受信機である携帯電話自体がパーソナルなメディアであることを考えても、こちら側に寄ることは必然でしょう。

インターネット番組と同様、ラジオもけっこう少人数で低コストです。
音声メディアなのでカメラマンや照明、ビデオエンジニアといった映像関係のスタッフが必要ないというのもあるでしょう。
NOTTVは映像メディアではありますが、受信端末が携帯電話やタブレットのそこまで大きくはない画面であることを考えると、そこまで凝った画作りは必要無いように思えます(特に生放送の場合は)。
番組の内容にもよりますが、インターネット番組やCS番組、あるいはラジオの映像付き配信で見られるような、映像は固定カメラ1台だけというのでも十分ではないでしょうか。

また、ラジオは実際には大衆に向けて放送されているのですが、パーソナリティはひとりひとりのリスナーに語りかけるように放送しており、リスナーからすればまるで自分に向けて放送しているように感じられるため、パーソナリティとリスナーの距離が近いメディアといえます。
携帯電話というパーソナルなメディアに対しては、テレビのような“大衆”を向いた放送よりも、ラジオのような(実際には大衆に向けていても)“ひとりひとり”を向いた放送のほうが親和性は高いでしょう。
「見えるラジオ」(FM文字多重放送)のようなそのままの意味ではなくて、メディアの立ち位置的な意味で、NOTTVは「画のあるラジオ」を目指すべきだと僕は考えます。

実際、NOTTVでは毎日深夜3時~5時にニッポン放送の「オールナイトニッポン0」が映像付きで同時放送されるようですが、これはけっこう相性がいいんじゃないかと思ってたりします。

繰り返しになりますが、ニッチな番組はインターネットの得意分野なので、それはそちらに任せてしまえばいいのです。
インターネットでは少し規模が大きすぎて力不足な分野、ここを放送波の同報性で補完する。
そしてラジオやネット番組のように豪華な画作りよりも、出演者の生の魅力に迫れる番組を作る。
言わば「ちょっと大きめのニコ生」みたいな感じをNOTTVは狙うべきではないでしょうか。

CSに頼らない。CSを真似る

NOTTVではCSチャンネル制作の番組が多数放送されています。
mmbiの中の人は日経ニューメディアのインタビューの中で「BS/CSはスマホでは見えない。ということは、NOTTVで流す意味がある。各局に対して、ショーケースにしませんかと呼びかけた」と話していますが、僕はこれはあまり意味の無いことだと思っています。

スカパー!制作のスポーツ中継、これは良いでしょう。
携帯を持ってスタジアムで実況と解説を聞くこともできますし、スポーツファンには役立つことでしょう。

しかし問題はそれ以外の収録番組です。

CSチャンネル制作の番組はリビングのテレビ受信機で見るように作られており、携帯端末で見るように作られてはいません。
先程も触れたとおり、それぞれメディアによって適した番組は CSも含めた固定受信機向けテレビ放送と携帯端末向け放送とでは適した番組はそれぞれ異なっており、それらを携帯端末で見るにはあまり向いていないように思えます。

また、スカパー!やCATVに加入している人からすれば、それはすでに見られるものなのです。
家のテレビで見られるものと同じものに対して、余計にお金を払おうとは思わないでしょう。

逆に加入していない人がNOTTVで放送している番組を見てスカパー!やCATVでそのチャンネルに加入しようとも思うでしょうか。
やはりその番組はすでに見られる状態であり、結果は一緒でしょう。
どちらにとってもメリットがあるようには思えません…。

ところで、CSのフジテレビONE/TWO/NEXT(旧721/739)で放送しているゲームセンターCXは、日本の有料放送で1,2を争うほど大成功した番組だと言えるでしょう。
番組をまとめたDVDや書籍もかなりの売上を記録しています。

いろんな人のブログを検索してみると、この番組のためだけにスカパー!やCATVと契約しているという人もいるようです。
スカパー!でフジテレビONE/TWO/NEXTを見る場合、スカパー!の基本料だけで410円、フジテレビONE/TWO/NEXTパックが1575円で、合計2000円近くかかります。

NOTTVの420円という設定はそれに比べるとかなり安い金額です。
もしも、仮にゲームセンターCXがNOTTVでも放送されるようになったとしたら、いくらかの視聴者はNOTTVに移動してくるでしょう。

しかし、ゲームセンターCXはフジテレビにとってもスカパー!にとっても加入者を確保できる強力なキラーコンテンツのひとつであり、そんな収益源をみすみす分け与えるようなことは考えられません。

であれば、ゲームセンターCXほどのお化け番組である必要はないにしても、「この番組が見たいから加入したい」と思わせるキラーコンテンツを自ら生み出すほかありません。
NOTTVの視聴料はスカパー!に比べると破格的に安いので、加入するかどうかのハードルは低いはずです。

確かにNOTTVではオリジナル番組が多数放送されていますが、キラーコンテンツになり得る番組は見つけることができませんでした。
まぁ、そんな簡単にキラーコンテンツが出来ればテレビ業界も苦労していないでしょうがw、ここはぜひ頑張っていただきたいところです。

例えば。先程、ラジオに近いメディアになるべきだと主張しました。
ラジオではアイドルや声優、お笑い芸人などのトークが満載で、その人自身の魅力や面白さを感じられる番組が多数放送されています。
すでにNOTTVではAKB48やグラビアアイドルによる番組がいくつか放送されていますが、やっぱり「テレビっぽい作り」なんですよね…。やはり「画面の中の存在」を脱し切れていないように思えます。
ラジオのように等身大のアイドルの姿を垣間見られ、身近な存在に思えて、しかもラジオと違ってきれいな画質で映像を見られる番組のほうが、同じアイドル番組にしても魅力が大きく、ファンにとっても加入を決める理由になるように思えるのですが…。

リアルタイム放送と蓄積型放送の使い分けを

NOTTVには決められた番組表に沿っての普通の放送とは別に、番組データを放送波から“ダウンロード”して端末に保存し、一定期間内はいつでも見られるようになる蓄積型放送という仕組みがあります。
普通、放送番組を録画する場合は30分番組なら30分、1時間番組なら1時間と必ず放送時間と同じ時間がかかりますが、蓄積型放送では、ネットで動画ファイルをダウンロードするときのように多くの帯域を使って一気に大量のデータを送信できるので、再生時間より短い時間で番組を受信することができます。
また1度きりではなく一定の期間内は繰り返し番組データが送信されるため、受信の失敗が少なくなります。

今現在、番組表を見ると、蓄積型放送には告知番組と音楽クリップ番組しか用意されていません。

リアルタイム放送のほうには例えば月曜22時30分からアニメ「偽物語」、金曜21時からアニメ情報番組「アニ充」が編成されるなどしていますが、そういった生にこだわらない番組については決まった放送日時だけでOAするのではなく、蓄積型放送でも随時放送するようにすべきではないでしょうか。

毎週決まった時間に番組を見るというのは固定のテレビならまだしも、携帯端末でというのはキツい気がします。
それよりは、アニメやドラマの最新話が毎晩寝ている間に自動的に受信され、朝起きるとそのまま番組を持ちだして移動中に見られるという状態になっているほうが使い勝手も良いと思います。
現在、ニコニコ動画が公式チャンネルでアニメの公式配信を行い、ニコニコ生放送の生放送した直後にオンデマンドでの配信も開始するというシステムを実現しています。
それと同じように新作アニメを多く放送(しかも全国最速)を実現し、仮に見逃しても翌朝には蓄積型放送で見られるとなればアニメファンには便利な放送になるのではないでしょうか。

また、現在蓄積型放送で放送されている音楽クリップ番組は3回という視聴回数制限が付いていますが、3回は明らかに少なすぎます。
例えば新作アニメやドラマを毎週1話ずつ放送していくとすれば、次の話が放送されるまでの1週間は何度でも最新話を見られるようにすべきです。
もしコンテンツホルダーがうるさいというのであれば、株主にテレビ局がいるんだからそういう交渉ごとに長けた人を派遣してやればいいと思います。ニコニコ動画だってそういう交渉をしてアニメの公式配信をやってるんですから。

リアルタイム放送は主として、視聴者が出演者とのコミュニケーションを楽しめるような生だからこその番組のために使って、そうでない番組については蓄積型放送での放送をメインとし、リアルタイム放送はあくまで初回放送、最速放送といった付加価値的な、あるいは番組を見たことがない人のためのお試しという位置付けに抑えるべきでしょう。

それから、月額視聴料420円分が価格から割り引かれるという、お笑いを交えた通販番組「モトとるショッピング」が始まっています。
通販番組はテレビ局の収入源になりやすいですから放送したいというのはわかりますし、月額視聴料相当額が割り引かれるというコンセプトも面白いです。
でもそういう通販番組は通常番組の前後のスポット枠で放送すべきであって、独立した番組として放送するのはどうなのでしょうか。
いくら視聴料相当額が割り引かれるといっても、視聴者は通販番組を見るために視聴料を支払っているわけではないのです。

まとめ。ぼくのかんがえたさいきょうのNOTTV

最後に、ここまでの考えをまとめます。

  • リアルタイム放送は生放送中心。VTRを見てコメントするだけのようなヌルい番組ではなく、ラジオのように出演者自身の魅力や面白さを引き出せる、ここでしか観られないオリジナル番組を用意する
  • スポーツ中継はスタジアムで見るのにもちょうど良く、スポーツファンの視聴者獲得に役立つと思われるので今のまま継続する
  • リアルタイムで放送することにこだわらない収録番組は基本的に全て蓄積型放送で放送し、放送時間に縛られずいつでも見られるようにする
  • 420円引きの通販番組は番組前後のスポットで放送。独立した番組としての通販番組はしない。視聴者は通販番組を見るためにお金を払っているのではない
  • 新作アニメ全国最速放送。蓄積型放送でも同日配信し、朝起きれば端末の中には最新話が入っていて1週間何度でも、地下鉄の中でも視聴可能にする。自動的に受信され、補完もあるので録画失敗の恐れなし。

他にも、ネット系の番組制作ノウハウを受け継ぐために例えばドワンゴあたりから出資を受けたらいいんじゃないかなぁとか、ニュースチャンネルが半年ごとにTBSと日テレで切り替わるのはいろいろ事情があったんだろうけどわかりにくいからどっちかに決めたらいいのになぁとか、とか細かい部分で思うところはあったりしますがキリが無いのでこのへんでおいときます。
それでも、どうしても言いたいことだけは余すことなく書ききったつもりです。

CATVに加入してCSチャンネルを楽しんでいて、ラジオもよく聞くし、ニコ動のプレミアム会員にもなっていてコンテンツにお金を払うことには慣れてる程度のガジェット好きなので、一般の視聴者層からはかなりズレているかもしれません。
そんな人による「ぼくのかんがえたさいきょうのNOTTV」。
mmbiの中の人、どーですか!?


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