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水曜日のダウンタウンが圧倒的過ぎてヤバイ

先日12月26日のよる10時から水曜日のダウンタウンの2時間スペシャルが放送され、その中で10月から連続モノとして放送されてきた安田大サーカス クロちゃんの恋愛企画「MONSTER HOUSE」の最終回が放送されました。

これまでも共演者の女性複数に好意を寄せ、それぞれに愛の言葉を囁き、唇を奪ってきたクロちゃん。
最終回では、後から加入した女の子から告白されたのですが、なんと「本当に好きな人が別にいる」として断ります。
そしてプレゼントの指輪も用意して意中の女の子に告白したのですが、「最初は自分のことをまっすぐ見てくれているのかなと思ったけど、他の女の子にも手を出してたことを知ってショックで、クロちゃんと付き合ったら辛い思いをするんだろうなと思った」と言われ玉砕。
いったん落ち込んだ後、「やっと本当の気持ちがわかった」として結局残る最後の女の子にもアタック。
しかもプレゼントの指輪を使いまわすというクズっぷり。
放送を全部見てから判断させてほしい」として返事は保留され、まさに最終回の放送が終わったあと生放送で返事を聞くことになったのですが、案の定というかもちろんというか当然というか返事はNO
そして、「こんなクロちゃんを許せるか、許せないか」という視聴者投票を行い、「許せない」が過半数ならばその割合に応じて12時間〜24時間まで収監され、その模様がとしまえんで公開されることに。
最終的に「許せない」が95%という圧倒的多数で、見事、収監となったのでした…。

その後、深夜のとしまえん付近には大量の人が押し寄せ、交通渋滞の発生や近所への騒音などで苦情が相次いだことから公開は中止されてしまったのですが、それはまた別のお話…。

デジタルテレビの双方向機能を使って視聴者投票をするというのは今ではいろんな番組でやっている演出で、特に珍しいことではありません。
では、何がすごかったかというと、その投票総数が279万7080票という数字を叩き出していたことです。
日本の人口は1億2000万人程度なので、割合にしておよそ2.3%が投票したという計算になります。

…確かに多いとはいえ、これがいかにヤバイ数字なのかいまいちピンと来ないと思います。
そこで、他の番組における同様の例と比べてみましょう。

紅白歌合戦の場合

ここ最近の紅白歌合戦では視聴者投票を審査に取り入れています。
2017年の投票数は紅組が143万1292票、白組が223万6339票、合わせて366万7631票でした。

紅白歌合戦といえば、スポーツの国際大会中継を除けば日本で一番視聴率を獲る番組です。
最近の視聴率はおおむね40%前後で推移していて、2017年は39.4%(第2部、関東地区)でした。

では、これらの数字をもとに、番組を見ていた人のうちどれだけの割合の人が投票を行ったかを計算してみます。

テレビの視聴率は人数単位ではなく世帯単位で計測されます。
日本の総世帯数は概ね5000万世帯。
視聴率は地区によって異なるため正しくはありませんが、地区別の視聴率を調べる手段がないため関東地区の数字を全国に準用して考えると、紅白歌合戦を視聴していた世帯数は5000万×39.4%=約1970万世帯と推定できます。

あくまで1世帯1票と仮定して投票総数を視聴世帯数で割ると、結果は約19%となります。

同じ計算を水曜日のダウンタウンに対してもやってみます。

水曜日のダウンタウンって、別にそこまで視聴率が高い番組じゃないんです。
だいたいいつも10%くらい。
先日のスペシャルの視聴率は8.6%でした。
あの熱狂からすると低すぎるように感じますが、夜10時からの2時間スペシャルという時間帯、その上でも視聴率は良くないので。会社的には(「モンスターハウス」は)失敗だと思われてますからという演出の藤井Pのインタビュー記事の発言からすれば、妥当なものなのでしょう。
なので、水曜日のダウンタウンの視聴世帯数は5000万×8.6%=約430万世帯と推定できます。
投票総数が280万票なので、投票を行った人の割合はなんと約65%

いやいやいや…マジで?

水曜と紅白とでは、視聴率・視聴者数は4倍以上の差があります。
しかし、投票総数では1.3倍程度しか差がない。
よくあるWeb投票のように番組を見ていない人も投票できたり1人で何票も投票できたりするわけではなく、番組を受信してデータ放送を表示していた人しか投票できず、チューナー1台につき1票だけなので、1人で多重投票をするにしても限度があります。
紅白の投票ができたのは12セグ≒家のテレビだけ(2017年の場合)、すいではワンセグ携帯でも投票可能だったという違いがあるとはいえ、それだけでこんなに差がつくとは考えにくい。
いずれにせよ、紅白に比べて極めて高い割合で視聴者が行動を起こしているのは間違いないでしょう。

めちゃイケの場合

次は同じバラエティ番組のケースと比較してみます。

今年3月に終了したフジテレビの「めちゃイケ」でも、過去にデータ放送を利用しての投票が行われたことがありました。
2016年2月に放送されたスペシャルで、当時番組レギュラーだった素人メンバーが素行不良から再オーディションを受けることになり、視聴者投票で合格が過半数なら番組復帰、不合格が過半数ならクビになるという企画です。

クズの出演者を許すかどうかの判断を視聴者に委ねるという意味では今回の企画と共通しています。

この放送回の当該パート(21時〜23時10分)の平均視聴率は9.8%(関東地区)。
水の平均的な視聴率と同じくらいです。

しかし、このときの投票総数は63万483票で、100万票にも届いていません。

同様に投票を行った人の割合を計算してみると、約13%となります。

しかもこちらのケースではデータ放送以外に番組サイトでの投票も受け付けており、水よりも多重投票をしやすい状況でした。

それでも水の4分の1にも満たない投票数しかなかったわけです。

熱量の差

おそらく、テレビ局としてもこういうデータ放送での視聴者投票を行えば、視聴者のうち何割程度が実際に投票行動を起こすかというデータは、経験則からある程度わかっているはずです。

実際に、紅白でもめちゃイケでも、投票率は1割〜2割。
水の視聴率にこの数字を当てはめて考えると、多くて100万票というのが番組側の予測だったのではないでしょうか。
これは、番組中でリアルタイムの投票数がテロップ表示されたとき、すでに投票数が100万票を超えて7桁に突入していて、用意されていた6桁分の表示枠をはみ出してしまっていたことからも想像できます。

視聴率は単にその時間にテレビのチャンネルが合わせられていた割合でしかないため、視聴者がその番組を食い入るように真剣に見ているのか、BGMがわりにつけっぱなしにしていてろくに内容を見ていないのかはそこからはわかりません。

しかし、視聴者投票は視聴者がリモコンを能動的に操作する必要があり、視聴者が番組をちゃんと見ていないと、あるいはちゃんと見ていても投票しようという気を起こさなければ反映されないわけです。

先ほども紹介した演出の藤井Pのインタビュー記事でも、視聴率はあまり芳しくなくても、世間の温度的にはなんか話題になっている感じはしますよね。たとえば若い子たちと話をしていると、興味を持ってくれている感じはすごく伝わってくる『水曜日のダウンタウン』より視聴率を2倍取っていても、世間ではまったく話題にならない番組や企画だってありますからと発言しています。

また、藤井Pは自身の著書の中でも100人が『1』面白いと思ったモノと、1人が『100』面白いと思ったモノには同じ価値があるその人数と深さを掛け合せた面積をどれくらい大きくしていけるかが勝負と記しています。

つまり、水は視聴率という結果には現れなくても、驚異的な視聴者投票の数や、深夜に警察に止められるほどの人出を作り出すなど、視聴者一人ひとりの熱量が他の番組に比べて高いといえるでしょう。

僕もこの番組は大好きで、だからこそこんな記事も書いてしまったわけで…。
そんな熱い番組他にないと思うので、これに懲りずに視聴者を動かす企画を放送して欲しいです。


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